英情報部が国際テロ組織発行のオンライン雑誌にサイバー作戦


イギリスの情報部(M16)が国際テロ組織、アルカイダの発行する英語版オンライン雑誌「Inspire」に対してサイバー作戦を敢行したと複数の欧米メディアが伝えている。問題のオンライン雑誌をダウンロードしても読めないようにしたもので、サイバー空間を利用するテロリズムに対して当局が対策に乗り出したかっこうだ。

AFPによれば、問題のオンライン雑誌「Inspire」は、アルカイダ系組織「アラビア半島のアルカイダ」の指導者の1人、アンワル・アウラキ師とアメリカ人のサミル・カーン氏が発行しているもので全文が英語で記されている。インターネットを利用して欧米圏の若者などをターゲットにアルカイダの組織拡大を狙って昨年から発行されたとみられる。
ワシントン・ポストによれば、アルカイダによるオンライン雑誌発行の計画を知ったアメリカでは、テロ対策と海外に駐留するアメリカ軍支援のために雑誌の発行を妨害する計画が政府内部で検討されたが、CIA(米中央情報局)が反対したため実行されなかったという。しかし、この間にイギリスの情報部がサイバー攻撃を行い、その結果、ダウンロードをしても、文字化けするなどした雑誌が発行されるようになったという。また、台所で爆弾を製造する方法を記した特集ページを開こうとするとお菓子作りのサイトが開くなどの細工もなされていた。イスラムの聖戦ウェブサイトを追跡しているFlashpoint Global Partnersのシニアパートナーによれば、「アルカイダが修正バージョンを発行するまでに2週間かかった」という。
フィンランド・ヘルシンキに拠点を置くインターネット・セキュリティー企業、エフセキュアが運営する情報セキュリティの専門家によるブログ、エフセキュアブログが、文字化けしたInspire誌のページ画像を掲載している。表紙と目次は変わらないが、4ページ目から記事はまったく読めない状態になっている。エフセキュアブログでは「過激派のコンテンツを置き換えたバイナリのゴミは、ランダムなバイトのように見える。実際は、オリジナルのコンテンツに上書きするためにペーストされた、カップケーキのレシピを含むファイルの未加工ダンプだ」「我々が破損版を分析した際、マルウェアかエクスプロイトが含まれていそうだと考えた。しかし、そうではなかった」としている。
エフセキュアブログによれば、Inspire誌はPDFフォーマットによりオンラインでこれまでに5号発行されている。