韓国・朝鮮日報次長が岩波『世界』を痛烈批判


岩波書店が発行する月刊誌『世界』は2011年2月号で「紛争の海・西海を平和と繁栄の海にするために」と題した韓国の元国家情報院院長、金萬福(キム・マンボク)氏の論文を掲載した。この論文について、韓国の日刊紙、朝鮮日報の社会部次長・鄭権鉉(チョン・グォンヒョン)氏が『世界』と金氏を痛烈に批判するコラムを朝鮮日報に掲載している。

金萬福氏は盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代に国家情報院院長を務めた人物。国家情報院は韓国の安全保障に関わる情報収集・捜査を行う大統領直属の機関で、前身は国家安全企画部。金氏は太陽政策と呼ばれた対北融和政策をとった盧武鉉政権時代の2006年11月から2008年2月まで国家情報院のトップだった。07年10月の南北首脳会談では盧大統領に随行し平壌も訪れている。

同氏が『世界』に寄稿した論文は、南北の軍事衝突が続いている黄海(西海=ソヘ)の境界線問題を検証したもので、「西海平和協力特別地帯」構想など対北融和策をとった盧武鉉政権を高く評価する一方、李明博(イ・ミョンバク)政権を「“対北封鎖戦略”で一貫してきた」「冷戦的な対北対決政策に回帰してしまった」と批判している。論文は2010年11月に起きた北朝鮮による延坪島(ヨンピョンド)砲撃事件の半年以上前に書かれたものだという。しかし、追記として砲撃事件後の韓国政府内の動向や、内部告発サイト「ウィキリークス」が公開した駐韓米大使館による電文などを紹介、「今日の朝鮮半島の状況は、『李明博政権が北朝鮮崩壊論を確信して南北関係を悪化させた結果』だという、考えを一層確信するようになった」とし、対北融和政策の遂行を求めて結んでいる。

この論文に対して朝鮮日報は、「岩波書店『世界』に寄稿した元国家情報院長」とのタイトルで社会部次長の鄭権鉉氏がコラムを掲載。月刊誌『世界』について「北朝鮮の宣伝物といえるような雑誌」と切り捨てている。コラムによれば、かつて軍事政権下にあった韓国で『世界』は沈黙する韓国メディアに代わって情報を得る手段と受け止められていたが、読めば読むほど「おかしな気がした」という。そこには歪曲した韓国が描かれ、記事はデマの震源地だったというのだ。そして、「確認されていない北朝鮮の発展の模様を忠実に報道した」「北朝鮮の宣伝物も同然だった」と『世界』の評価をくだしている。そのうえで、国家情報院院長のポストにあった金氏が同誌に論文を寄稿したことへの驚きを表明し、韓国の元国家情報院長の肩書が親北雑誌の商売に利用されていると厳しく批判している。

■岩波書店『世界』に寄稿した元国家情報院長