【BOOK】「太陽を取り戻すために」チベットの焼身抗議


チベット亡命政府が置かれているインド・ダラムサラよりブログ「チベットNOW@ルンタ」でチベットの現状を発信し続けているNGO代表の中原一博氏がチベットの焼身抗議の詳細をまとめたネット本『「太陽を取り戻すために」チベットの焼身抗議』を上梓した。

『「太陽を取り戻すために」チベットの焼身抗議』によれば、チベットでは2009年2月以降、2013年7月23日までに亡命チベット人を含め124人が焼身し、うち105人が死亡しているという。本書では一つ一つの焼身について、焼身者の遺書や辞世の句、インタビュー記録、チベット人作家、ツェリン・ウ―セル女史のブログ記事などを交えながら、その詳細を明らかにしている。そして、焼身がなぜ行われるのか、チベットと中国の関係に鋭い洞察を向けながら分析している。また、焼身に対するダライ・ラマ法王の見解、亡命政府の立場、国連や諸外国の反応、日本の反応についても記し、さらにチベット以外で行われた焼身について、インド、イスラム圏、ベトナム、中国、日本も含め歴史的な視点から解説するなど焼身そのものについての宗教的、歴史的解説書にもなっている。

気になった個所をいくつか抜粋しよう。
「今も続いているチベット人の焼身とは、中国の圧政に対する抗議の焼身であり、それは個人的な自殺ではなく、政治的意図を持って決心されたものである」
「焼身者の内、多くの人たちが遺書の中で『チベット語擁護』を訴え、最後の叫びの中で『言語自由』を訴えている。それほど今、チベット文化、宗教、アイデンティティーの基礎であるチベット語が消え去るのではないか、中国共産党により抹消されようとしているのではないかという危機感がチベット全域に広がっている」
「現首相である安倍氏もダライ・ラマ法王と握手をしながら、『チベットのためにできることは何でもやるつもりだ』と強いチベット支援の意志を表明したことになっている。もっとも、実際に首相になり政権を担い始めてから、現在(2013年5月)までまだ一言もチベットに関する発言は行っていない」
「法王は『チベットは中国により文化的なジェノサイドを被っている』と言う。物質的、経済的発展にしか価値を認めない中国共産党が人間的、精神的価値をより大切にするチベット文化を消し去ろうとしている」

ブログ「チベットNOW@ルンタ」によれば、タイトルとなっている「太陽」は、チベット人にとって「ダライ・ラマ法王」を指すという。同書には、ダラムサラに滞在して焼身者に捧げる絵を描き続けているカナダ在住の日本人画家、井早智代氏の絵もあわせて掲載されている。「チベットNOW@ルンタ」によれば、ネパール・カトマンズで2013年8月6日、チベット人僧侶が焼身抗議をはかり焼身者の数は125人に達した。

■「太陽を取り戻すために」チベットの焼身抗議