チベット中央政府 YouTubeに中国当局によるチベット僧連行ビデオ


チベット中央政府情報国際関係局が、中国の治安当局によるチベット寺院弾圧の様子を撮影したビデオをYouTubeに公開した。このビデオは治安当局が2008年に撮影したものとみられるが、出所の経緯などは不明。警官がダライ・ラマ法王の写真をかざし、写真の所有者探しをする生々しい映像が収められている。この時、連行された僧侶の行方はいまだに不明という。

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映像は2008年に中国の治安当局がラサのドレプン寺院で撮影したものとみられる。突然の警察の捜索に戸惑った様子の僧侶の姿や、寺院にある写真からダライ・ラマ法王の写真を見つけた警官が僧侶に「この写真はお前のものか」と詰問している様子が撮影されている。チベットでは僧侶などの焼身抗議が相次いでおり、5月27日にもチベット自治区の首都、ラサでチベット人2人が焼身を図り1人が死亡したという。チベット中央政府が公開したビデオによれば、映像に見られるようなチベット寺院に対する弾圧は現在も継続しており、こうした宗教的な自由への抑圧が焼身抗議の背景にあるという。

ダライ・ラマ法王日本代表部事務所によれば、インド・ダラムサラのチベット中央政府はラサにおける焼身に関して憂慮の意を表明、ラサの状況について多数の警察部隊と準軍事部隊が配置され緊迫した事態にあるとしている。また、アメリカ政府がこのほど発表したチベットの人権問題に関する2011年次報告に触れ、「愛国教育・法教育推進運動を通じたダライラマ批判の強要、治安部隊による寺院占拠といった抑圧的政策を、チベット人はチベット固有の宗教的・言語的・文化的アイデンティティの基礎への脅威と見た。これらの抵抗運動により、中華人民共和国当局の治安維持への取り組みが強められ、チベット人が連続焼身といったますます悲劇的な行動に至るような弾圧が繰り返されるのである」とした同報告の分析を紹介している。

チベット中央政府によれば、YouTubeにアップされたビデオ映像はラサから秘かに持ち出されたもので、映像にあるような状況は現在も変わらないという。一方、報道によれば中国の温家宝首相は3月に行われた全国人民代表大会の記者会見でチベット僧の焼身に触れ、過激な行動には同意できないと発言。チベット亡命政府がチベットを中国から分離させることを目指していると批判したという。複数のメディアが伝えるところによれば、中国政府はチベット自治区への外国人観光客の受け入れを中止した。夏の観光シーズンを前にチベットへの観光客受け入れ中止に踏み切ったのは、チベット情勢に対する警戒感の表れとみられ、今後、寺院などに対する取り締まりがさらに強化される恐れもある。