元駐露大使、丹波氏の訴え



tanba_minoru 元駐ロシア大使の丹波實氏が北方領土問題について見解を述べているのをBSテレビで見た。丹波氏は健康を害しているようにも見え、最後の訴えをしているような悲壮感さえ漂っていた。丹波氏の訴えは、「日本はあくまでも歴史的な正義の実現を追い求めるべきで、今は我慢と忍耐の時だ」というもの。私も同感だ。
 私は以前から、なぜ日本は「日ソ中立条約」を一方的に破棄し、不当に併合された全千島及び南樺太の返還を求めず、北方領土4島だけの返還を求めているのか、疑問に感じていた。確かに、日本は「サンフランシスコ条約で全千島及び南樺太を放棄したが、この地域はどの国に帰属するのかは明記されていない。更に旧ソ連はサンフランシスコ条約に署名しておらず、米英の連合国側の立場を維持している以上、公約である「領土不拡大」にも縛られるハズだ。
 今からでも遅くない、全千島の返還を要求するべきだ。日本政府が1956年に北方領土4島の返還に転換した理由は、どうも冷戦時代の大国・ソ連に全占領地の領土要求をしても返還される可能性が低いので、返還の可能性がある北方4島に絞ったという見方がある。呆れた話しだ。私は日本共産党は嫌いであるが、以前から日共の北方領土問題に対する姿勢が一番理にかなっていると見ていた。日共の方針は、旧ソ連の行為は「領土不拡大」という大原則に反する行為であるので、全千島及び南樺太の返還を要求するという内容である。
 多くの人は、「日共の方針には裏がある」と警戒するが、冷戦が終了した今、冷静に検討するべきと考える。丹波氏が訴えている歴史的な正義に該当する方針だと思う。最近の新聞に、「釧路市の生活保護費が急増し、12年度は総額150億円、受給者が1万人を突破」という報道があった。千葉県の 我孫子市は、人口13万5千人で生活保護受給者は1000人強である。釧路市は人口17万5千人で1万人であるので、とんでもない数字である。もしかしたら、人口比では日本一かもしれない。この背景には、北方領土で漁業が出来ないという側面もある。釧路・根室の発展にブレーキをかけていることを知って欲しい。
 道東の人々は、苦しい状況に置かれているが、だからと言って、現実的という事で妥協してはならない。領土問題とはそういうものだ。歴史に禍根を残すことになる。だから丹波氏は、呻きながら「今は我慢と忍耐の時だ」と訴えたのだ。我々は、先人の失政のために苦労しているのだ。それにしても丹波氏の健康が心配だ。