北海道新幹線の新駅名称問題



 いよいよ、2016年3月に北海道新幹線が開業する。ところが、北斗市内に開設する新駅の名称問題で、北斗市と函館市が一歩も引かない状況が続いている。
 昨年6月には北斗市議会が「北斗函館駅」、また今年3月には函館市議会が「新函館駅」との駅名を求める決議案をそれぞれ可決した。そして、今年9月24日には、北斗市は市長及び議員ら10人以上でJR北海道本社を訪れ、「北斗函館駅」とするように要望している。
 ところで、私のような北海道に土地勘のある人間でも、北斗市という地名を聞いてもピンとこない。調べてみると、2006年に上磯町と大野町が合併し、北斗市(人口約4万8千人)となった。道理で、知らないはずだ。
 北斗市の言い分は、こうだ。
・新駅は、現函館駅から約18㌔離れた北斗市の行政区域内に設置される。
・新幹線駅から10㌔も離れている他の市町村だけをつけた駅は、全国に例がない。
・駅名に所在地以外の市町村名のみをつけた駅は、全国で唯一、東北新幹線の「新白河駅」(主に西郷村)があるが、ホームの一部は白河市の行政区域にある。
・新駅建設費の30分の1を地元自治体として北斗市が負担している。
 このような争い、実は以前にもあった。1975年(昭50年)の山陽新幹線の開業に際し、当時の国鉄などが山口駅(小郡駅から約13㌔)への玄関口として「新山口駅」や「山口小郡駅」への改称を打診したが、小郡町は山口市の一部として見られるとして拒否、最終的には「小郡駅」で決着した。
 ところが、2003年に「小郡駅」から「新山口駅」に改称している。その理由は、2005年10月1日に、小郡町が山口市と合併する事に合意したからだ。その結果、JR西日本は駅名の取り替えなどで、数千万円を出費する羽目になった。新幹線の駅名変更は、鉄道会社が数千万円の出費だけではなく、旅行業者や出版会社など、色々な業界に影響を与える。
 もしも、新駅が「北斗函館駅」に決定し、その後、北斗市が函館市に編入されて消滅した場合、JR北海道も数千万円を出費する事になる。大赤字会社のJR北海道に、新たな負担を掛けるのか?
 北斗市側は、北斗市が消滅することはないと反論するであろう。しかし、亀田町は1971年(昭46年)に市制施行したが、わずか2年後の1973年に函館市に編入されて消滅している。
 北斗市は、本当に10年後、30年後も自治体として存続しているのか?北斗市は、函館市の衛星都市で、函館市発展あっての北斗市ではないのか?北斗市の動きは“地域エゴ”ではないのか?
 もう一度、小郡駅に戻る。改称には、旧小郡町民の反対運動もあったが、最終的には「小郡駅は山口県民の駅であり、小郡町民だけの駅ではない」という意見に推され、新山口駅へと改称された。この文章を、新駅について置き換えてみると、
「新駅は北海道民の駅であり、北斗市民だけの駅ではない」
 そうなのです。新駅の名称問題は、北斗市だけの問題ではないのです。如何にして北海道を、そして函館市近辺を発展・自立させるか、という問題なのです。函館市は、国内及び海外でも有名な都市である。今は、函館市を如何に売り込むかを考える時だと思う。