オホーツク斜面



 北海道教育委員会は5日、4月に実施された小学6年と中学3年の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の管内別の平均正答率を発表した。さっそく、ブログで調べたところ、石狩(札幌)と上川(旭川)では多くの科目で全道平均を上回る一方、空知(岩見沢)、後志(倶知安)、日高(浦河)、宗谷(稚内)、オホーツク(網走)、根室の6管内は全科目で全道平均を下回った。私の故郷、オホーツク管内も下回る方に入っていたので、がっかりした。
 思い返すと、滝上町の中学1年時(5クラス、約220人)の事が忘れられない。何かの全国学力テストが行われ、その採点をした数学と英語のO先生が、「君たちの成績は最低だ。君たちは、オホーツク地域のことを何といわれいるか、知っているか。旭川から石北峠を越えると、どんどん学力が低下するので“オホーツク斜面”といわれている。大ざっぱにいえば、稚内から網走、そして根室にかけてのオホーツク地域は、学力が北海道一、いや日本一低いので“オホーツク斜面”といわれているのだ」と顔色を変えて怒ったのだ。
 この先生、どのような経緯か、2学期の始めに室蘭市辺りから転勤して来た。多分、前勤務先の中学校に比べて、余りにも点数が低かったので、怒りが爆発したのだと思う。その時は、こちら側も怒りを感じたが、社会人になっても、このトシになっても、なかなかあの時の情景が忘れられない。本当の事を“ズバリ”といわれたから、いっまで経っても忘れられないのだと思う。
 地図を見ればわかるが、北海道は、東北6県と新潟県を併せた面積がある。しかしながら、47都道府県別の統計が発表される場合、どうしても北海道は一つの自治体として公表されるので、本当の姿が見えてこない。道内を管内別の統計を見ると、また違う面が見えてくる。要するに、経済統計にしろ、学力統計にしろ、札幌や旭川、函館などの都市が統計数学を引き上げているため、オホーツク地域などの実態が見えなくしている。
 もう一つ。昔の話し。今年6月、紋別市に所在する鴻之舞金山(1973年閉山、住友金属鉱山㈱が経営)を訪れた際、70歳前後の案内人が「我々の中学時代、一学年に約120人の生徒がいた。会社は、子供の教育にも力を入れ、中学校には優秀な教員を招いた。そして、教員に対して給料と同じくらいの礼金を渡していた。優秀な生徒10人くらいは遠軽高校に進学し、その他は紋別高校に進学した」と述べた。礼金が給料と同じくらいと言うのは、少し大婆だと考えるが、会社側がそれなりの礼金を教員に渡していた事は間違いと思う。会社側も地元生徒の学力を知っていたので、教育に力を入れたのだろう。
 要するに、オホーツク地方の学力低下は、少なくとも半世紀以上前からのことであって、今に始まったことではないのだ。戦前から戦後は金鉱山、戦後は営林署を中心とした林業が地元経済を支えたが、現在では地元自治体しか頼りにする団体はない。それだからこそ、各市町村の首長は、その自覚を持つて行政を運営して欲しいと思うのである。