和人はアイヌ民族を大事にしなければならない!



 最近、札幌市議(自民党)の一人がブログで、世界大百科事典(平凡社)の2005年版から「民族としてのアイヌ民族は既に滅びたといってよく、せいぜいアイヌ系日本人とも称すべきものである」との記述を引用して、「アイヌ民族なんて、いまはもういない」と書き込んだ。これに対して、地元の北海道新聞や朝日新聞「天声人語」(8月20日付け)などが、この発信を批判的に報道している。
 この市議、何故にこのような発信を行ったのか。ネットで調べてみると、どうも国と道、市町村が住宅資金の貸し付けや奨学金を補助をしているが、札幌市でのアイヌ民族の住宅資金貸付制度の返済率が74・8%であるので、アイヌ民族への支援策に疑問を持ったようだ。本州以南では、被差別部落出身者に対する優遇政策で問題になったが、北海道ではアイヌ民族政策で同じような問題が起きているようだ。
 実は6年前、旭川市のある公共施設を訪ねた際、たまたまアイヌ民族の特設コーナーが設置されていたので見学した。その時、会場にいた年齢70歳くらいのアイヌ民族専門家からアイヌ民族について説明を受けたが、北海道は旧社会党が強い地域であるので、てっきりアイヌ民族に対して暖かい説明を受けると思った。ところ、全く逆の説明を受けたので驚いた記憶がある。その際、アイヌ専門家の著書「アイヌ史」を購入したが、著書の中に気になる文章があるので紹介したい。

「例えば、概念の不確かな「アイヌ」「民族」「先住民族」などの用語にこだわって、それを頼りに「アイヌ民族」を「弱者」と決めつけるような主張の裏には、一民族としての「アイヌ民族」の歴史があるという先入観や、「アイヌ民族」が一面的に「被差別集団」であるという先入観があるものと考えられる。…安易な人道主義的行為によって自己満足したり、免罪符を得るような方法をもって自らを正当化したりする姿勢によっては、〈歴史〉は歪められる。それにもかかわらず、そのような姿勢が、現実に広く行政機関、報道機関、市民団体、宗教団体、研究者などによってとられている」

 どうも北海道では、アイヌ民族を対象とするさまざまな支援策について、色々な意見があるようだ。筆者が推測するには、国の財政難が地方に対する補助金減少に繋がり、地方のさまざまな施策で補助金カットが行われいるのではないかと感じている。
 北海道は今年5月、アイヌ民族の生活実態調査(7年ごとに調査)の結果を報告した。それによると、アイヌの生活保護率は4・4%で道内平均の1・4倍、大学進学率は25・8%で道内平均から17・2%低くかった。更に、無作為に抽出した300世帯の所得調査では、年間所得100万円未満の世帯は前回比3・5%増の11・6%、100万円以上200万円未満が6・6%増の20・0%となる一方、200万円以上の割合は15・6%減の60・4%であった。要するに、アイヌと平均的な道民との経済格差は解消されていないのである。
 筆者は訴えたい。和人はアイヌ民族の生活を支援しなければならないと…。何故なら、ロシアに占領されている樺太と千島列島は、アイヌ民族の故郷である。将来、両地域の帰属問題がぶり返した際、日本が国際的にアピールするためには、どうしてアイヌ民族の力が必要である。アイヌ民族あっての樺太と千島列島の返還要求であるということを、我々は忘れてはならない。だからこそ、政府も国立博物館を中核とする施設を、2020年度に白老町に開設するのだ!