石北本線は10 年、20年後にも存続しているのか



 北海道の高速道路は、交通量が少ないにも関わらず、それなりに整備されてきた。その背景には、余り聞き慣れない「地域高規格道路」という無料の高速道路が、道内の隅々まで建設しているからである。そのため、オホーツク管内の遠軽町まで、高規格道路は伸びている。
 更に、札幌〜帯広〜釧路までの道東自動車道(道東道)が、将来的には道東道「網走線」として、オホーツク管内の網走市まで延伸される。既に道東道は足寄まで開通しており、その先は高規格道路として、10〜20年後には開通するようだ。
 そこで、我が輩は考え込んでしまった。網走線が開通すれば、石北本線(旭川〜網走)と釧網本線(網走〜東釧路)は、廃止されるのでないか、という心配だ。そして、鉄道の要所であった遠軽町は、どうなってしまうのか。オホーツク管内の住民は、石北本線が廃止されることを予見しているのか、などなどである。
 つまり、延伸予定(足寄町〜北見市、約79㎞)の網走線が開通すると、道央の大都市・札幌市とオホーツク管内最大都市・北見市間の乗客は、特急電車を利用しないで、高速バスを利用するようになる。その結果、特急電車の乗客が大幅に減少して、石北本線と釧網本線が、廃止路線として浮上するということだ。
 何故に、特急電車の乗客が大幅に減少するのかというと、現在は札幌〜北見間の所要時間と料金は、特急電車(4往復)が約5時間15分・9050円に対して、高速バス(10往復)は約4時間25分・5340円である。ところが網走線が開通すると、高速バスの運行コースは、全て高速道路(現在は層雲峡経由)になるので、所要時間が約3時間30分に短縮される。これでは、当然の如く、安価で、速い高速バスに乗客転移が起きる。特急電車を利用する乗客は、遠軽や旭川近辺に用事の乗客だけになってしまう。
 北海道の交通網を心配しているのは、何も我が輩だけではない。今月発売の雑誌「鉄道ジャーナル」6月号は、北海道大学大学院教授・吉見宏の「JR北海道の現状と矛盾」というタイトルの寄稿文を掲載している。

「…高速化にも関連事業にも手が出せない中で、『がんばれ』と言うのみでは、その先のがんばる方法はローカル輸送を切り、長大な路線を廃止してコストを下げてゆくしかない。…時代が変わってゆく中で、鉄道の役割を終えた線路は出てくる。しかし、このままでは、北海道の交通網として維持が求められるのに資金難から廃止するという状況に陥りかねない。『独立採算の下で身の丈に合った経営を』と求めらば、廃止の順番すら見えてくる。乗客の少ないローカル線の末端部のみならず、たとえ都市間路線であっても、その都市が他の主要都市から遠く離れていれば必然的に維持費は高く、廃止対象になるかもしれない。いったい、どこまで切れば独立採算で成り立つのか」

 この文章、何だか石北本線と宗谷本線のことを取り上げていると感じませんか?
 要するに、オホーツク管内の住民は、将来、網走線が開通した後、石北本線と釧網本線が廃止されることを理解して、網走線の開通を待ち望んでいるのか、という疑問である。絶対に、地元住民は石北本線の廃止を望んでいないと思う。そうであるならば、鉄道が整備されている地域の高規格道路建設は“考え物”であると言えるのではないのか?