ラグビーをもっと深く楽しむために



最近、ラグビーフットボールを観戦する機会が多くなったが、選手として活動したことがないので、今もって細かいルールはよくわからない。そうした中で、最近発売された月刊誌「新潮45」(1月〜4月号)の中で、元ラグビー日本代表・平尾剛が「短期集中連載ーラグビーをもっと深く楽しむために」という題名で、ラグビーの奥深さを解説している。
そこで、非常に参考になる部分があったので、原文のまま転載させてもらいます。
・もともとラグビーには、試合が始まればすべての判断を主将が行うという慣例がある。監督の指示よりも選手の判断が尊重される。一言でラグビーを評するなら、それは「陣取りゲーム」となる。
・試合中、選手の目は敵に、耳は味方に向けられている。後方から味方の支援を受けつつ、敵が待ち受ける前方へと走り込んでいく。これがラグビー選手の基本的な体感である。
・選手が、技術でカバーしきれない部分はどうするのか。それは、「心構え」を作るしかない。端的にいえば、闘争心を高めて試合に臨むということである。…恐れを打ち負かすには自らに潜む暴力性を可能な限り引き出さなければならない。温和なままでは試合などできない。
・円陣を組む目的は、引き出された暴力性がルールを超えて暴発しないためだ。…暴力性が、ある限界を超えないための儀式として円陣を組むのである。
・ラグビーがルール化されたのは、パブリックスクールにおいてである。…支配階級の子弟である彼らは、将来的には政治家などの国家を担う立場に立つ。中には植民地の行政官となり、遠く異国の地に赴任する者もいる。住み慣れた故郷を離れ、言葉や習慣が異なる環境でも、健康に生活できるだけの強靭な身体が彼らには必要だった。…つまり彼らにとって喫緊の課題は、あくまでも強靭な身体を養うことだった。最大の目的は勝利ではなかったのである。
・ラグビーでは、試合終了のことを「ノーサイド」と呼ぶ。試合後はサイドがなくなる、つまり敵味方の垣根がなくなることを強調して、こう称する。試合後に行う「アフター・マッチ・ファンクション」もそうだ。これは競技場内の一室やクラブハウスなどに両チームが集い、飲食を共にしながら親交を深めるものだが、これら二つの儀式には、勝敗を際立たせることよりも敵味方の立場を越えることに重きを置くという精神が宿る。
更に、ラグビー戦術の進化も解説しているが、最も影響を与えたことは、トライの得点変更だという。確かに、筆者の高校時代は、トライ得点は3点で、ペナルティゴールも3点であったので、トライ3点とペナルティゴール3点の同点試合を観戦した記憶がある。
後で調べてみると、1970年までトライは3点、92年までは4点で、その翌年93年からは現在の5点になっている。松尾氏は「トライを5点にした目的は、ペナルティゴールの3点との差を際立たせるためである」と解説しているが、2018年からはトライを6点に、ペナルティーゴール及びドロップゴールを2点にルール改正されるという。このため、松尾氏は「これだけの差があれば、おそらくペナルティからキックを狙うシーンが激減するだろう。ペナルティからタッチキックを選択し、ゴール前のラインアウトからモールを組んでトライを狙うチームが増えるはずだ」と予想している。
また、格下が格上に勝利するシナリオとして、松尾氏は「相手の焦りを誘うことから始まる。焦りから生じるこうしたミスが積み重なることで、波乱の土壌は作られる。先のW杯でのあの南アフリカ戦は、まさにこのシナリオ通りに試合が運んだ」と解説している。
このほか、技術的な解説もしている。
・タックルの目的は、ボールを奪い返すこと、もしくはボールを殺すことだから、相手を両手で捕まえただけでは不十分だ。つまりタックルは、相手のバランスを崩しきり、地面に倒してボールを放させてこそ成立する。
・ラック(ブレークダウン)の攻防で何よりも大切なのことは、複数人がまるで一つの身体のようになる「共身体」をいかに作れるかが最も重要である。
・どのスポーツでもそうだろが、アタックとディフェンスはいたちごっこのようにお互いを進化させていくものである。…その意味で現在は、ディフェンス 優位の実態にある。だからこそ攻めあぐねてキックを選択するシーンが多く見受けられる。
最後は、選手寿命について、
・一般的には、ぶっかるプレーを主とするフォワードに比べ、瞬発力が生命線のバックスは30歳を前に全盛期を迎えるといわれている。
と解説している。
という訳で、ラグビーのルールは複雑なので、この文章を作成しました。少しでも理解度が深まり、ファンが増加すれば、筆者も嬉しい限りです。