選挙権年齢の引き下げの本質的な理由



昨年6月、公職選挙法等の一部を改正する法律が成立・公布したことで、今夏の参院選から18歳・19歳が選挙権を得る見通しになった。更に、成人年齢の引き下げ議論も活発化してきている。そうした中で、5月12日付けの「読売新聞」は、18歳・19歳と成人の各2000人を対象に実施した全国世論調査の結果を発表した。

それによると、成人年齢を20歳から18歳に引き下げることに対して、18・19歳は「反対」が64%に上り、「賛成」の35%を大きく上回った。同じ質問を実施した20歳以上の成人では「反対」が54%、「賛成」が45%で、18歳・19歳は成人よりも否定的な意見が多かった。

そこで、思い出すことがある。筆者の高校時代であるから、もう45年前のことであるが、社会科の教諭が「君たち、戦争で一番強い年齢は幾つか判るか」と尋ねたところ、生徒たちが「20歳!」とか、「23歳!」という声を出した。それに対して、教諭は「君たちと同じ、18歳の兵士が一番強い。何故なら、君たちの年齢では、世の中のことがよくわからないので、上官の命令に何ら疑問を持たず、敵に突入出来るからである」と説明した。

更に教諭は、「現在、欧米諸国では、成人年齢を18歳に引き下げる動きがある。その背景には、18歳で徴用されれば国のために命をかけることになり、兵士の中には戦死する者も出てくる。当然のこととして、自分たちも“命令を出す為政者を選びたい”という意見が出てきた。そこで、選挙権を18歳に引き下げる動きになった」と説明した。

それ以後、筆者は成人年齢の引き下げの話題が上がるたびに、この時の教諭の話しを思い出すのだ。つまり、筆者も成人年齢の引き下げには賛成しないが、戦場に赴く18歳・19歳のことを考えると、反対もしずらい心境になる。まさに自らの“生死”に関わることである以上、成人年齢の引き下げもいたしかたないと考える。

現在の日本は、言わずと知れた議会制民主主義国家である。そうであるならば、戦前の日本や、共産党独裁体制の国と同じレベルで、強制的に若い青年を徴用することは出来ない。そうであるならば、必然的に成人年齢の引き下げに行き着くが、その底流には、近代国家が必然的に持ち合わせている“人権”という価値観があると思う。

それにしても、高校時代の教諭の話が、今でも頭から離れないということは、どう考えれば良いのか。筆者の頭脳には、ほど良い“問題提起”であったのではないか、と考えるのだ。