ロシア陸上競技選手のリオ五輪不可は当然のこと


組織的ドーピング疑惑が発覚したロシア陸上界に対し、国際陸上競技連盟の臨時理事会は昨年11月から続く資格停止処分の継続を決めた。その結果、ロシアの陸上チームは、8月開催のリオデジャネイロ五輪に出場出来ないことが決定した。残念なことであるが、当然のことである。

この決定を下さざる得なかったのは、理事会直前の15日に世界反ドーピング機関(WADA)が発表した、深刻なロシアのドーピング体質があるという。報告書の内容を紹介すると、

①選手に拒否されるなどして700件以上の検査を行えなかった。

②あらかじめ伝えなければならない居場所の申告ミスなどが111件。

③検査逃れのため、特別な許可が必要な軍事拠点を居場所として伝える選手がいた。

④ドーピングの陽性反応が52件。

⑤クリーンな尿が入っている容器を体内に隠し持ち、それを床に落として見つかると、検査官を買収しようとする選手がいた。

⑥検査官を見つけると、レースの途中で競技場から出て行き、居場所がわからなくなった選手がいた。

⑦武器を持ったロシア連邦保安局(FSB)の職員に脅された検査官がいた。

⑧検体を輸送する際、ロシアの税関に荷物を開けられ、妨害された。

以上の内容を知ると、当然の決定であると同時に、ロシアという国家が、如何に近代国家としての価値観を持ち得ていないのかが良く判る。つまり、スポーツに置ける最も重要な“公平性”を全く理解していないのだ。

ロシアのドーピング体質が、ここまでしどい現実を突き付けられると、それでは過去の記録を公認したままで良いのか、という問題が浮上する。以前にも紹介したが、男子ハンマー投げの世界記録は、本当は室伏広治選手の記録84.86ではないのか、という問いである。何故なら、現在の世界記録86.74は旧ソ連選手が1986年に樹立、歴代2位も旧ソ連選手が86年に記録、歴代3位はベラルーシ選手の記録であるが、同選手はその後ドーピングにより出場停止になった。つまり、室伏選手より上位記録保持者は、全てドーピングの疑いがあるのだ。

ハンマー投げなど投てき種目の選手は、昔からステロイド(筋肉増強剤)を使用して、多くの選手が出場停止処分になっている。しかし、昔は五輪時に検体を採取しても摘発出来ない不正が、最近では08年北京、12年ロンドン両五輪で採取した検体を、最新の技術を使うことで陽性反応になる事案が増加した。

男子ハンマー投げの世界歴代30傑を見ると、未だに6人の旧ソ連の選手名前がある。女子砲丸投げも同じで、世界記録は1987年に旧ソ連の選手が樹立し、世界歴代30傑には5人の選手の名前が残っている。最近の近代的なトレーニング方法が確立した中で、既に30年前の記録が、世界記録として残っている現実は、異常な状態である。つまり、ドーピングを疑わざる得ないのだ。

しかしながら今後、世界記録保持者自身が、ドーピングの実態を証言しない限り、検体が存在しない以上、これらの世界記録は当分の間消えない。そして、いつの日にか世界記録が更新されても、いつまでも歴代上位記録として残る。それを考えると、陸上競技という種目をメチャクチャにした旧ソ連や東欧諸国に対しては、激しい怒りを感じる。と同時に、共産主義体制を理想国家として支持した一部旧社会党関係者に対しても、激しい怒りを持つのだ。