2012下-2013上サイバー判例回顧


matimulog-logo 以前日弁連コンピュータ委員会のシンポでやっていた、サイバー判例回顧、東京弁護士会のインターネット法律研究部と消費者問題特別委員会の勉強会という形で今年も継続している。

今回の注目判決は、なんといってもURLを紹介した行為が児童ポルノの公然陳列にあたるとした最高裁決定と、ネット医薬品販売の権利確認を認容した最高裁判決だ。

最決平成24年7月9日判タ1383号154頁、判時2166号140頁
この決定については、このブログでarret反対意見が付されたことを判示事項に記した例(URL記載正犯事件)として紹介しているが、このブログを書いた当時は反対意見が至極当然と思っていた。しかし、公然陳列には違和感を禁じ得ないとしても、児童ポルノ提供罪における「提供」の意義を考えると、URLを紹介する行為も処罰を免れないというのが現状なのかもしれない。

児ポ法7条
1項後段 電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を提供した者も、同様とする。

4項後段 電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者も、同様とする。

しかし、このように提供概念が広がり、しかも児ポ法2条3項の児童ポルノ定義が曖昧で広く解しうる状態が続くとすると、児ポ法3条の規定を思い出すべしという感を強くする。

(適用上の注意) 第三条  この法律の適用に当たっては、国民の権利を不当に侵害しないように留意しなければならない。

現状では、この3条は単なるお題目以上の何ものでもないが、解釈指針として常に念頭に置くべきであろう。

最判平成25年1月11日裁判所HP(平23(行ヒ)279)
この判決自体はブログで紹介していなかった。判決が予定されている当日にjustice医薬品ネット販売規制の省令が違法との判決が維持されても法改正で対抗として紹介していたが、基本的には原判決を維持するものであったので、原判決pdfで満足してしまったのだ。

この判決後、上記エントリで紹介したような法改正で対抗という事にはならず、「一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールに関する検討会」を設置して議論した上で、さらにネット販売をどの範囲で認めるかの検討が続いている状況にある。→同検討会のとりまとめpdf

以下、抜粋。

第1類については、本検討会では上記のように、その販売方法について合意が得られなかったが、今後の対応においては、第1類が専門家たる薬剤師の判断により慎重に販売されるよう、ICTの利活用も踏まえつつ、その販売方法について適切に判断すべきである。

指定第2類を除く第2類については、(中略)基本的には、その販売に当たっては、その体制を限定せず、安全性確保のための一定の条件を課した上で、各コミュニケーション手段により、使用者に関して多くの情報が得られるよう努めることが適当である。

第1類と同様、指定第2類については、本検討会では上記のように、その販売方法について合意が得られなかったが、今後の対応においては、指定第2類が薬剤師等の専門家の判断により慎重に販売されるよう、ICTの利活用も踏まえつつ、その販売方法について適切に判断すべきである。

■本記事はMatimulogを転載したものです。